としごろ
この年になると少しずつ人生の輪郭が明確になってくる。
小さい頃は「なんにでもなれる」と大人に言われるし、実際なんでもなれると思っていた。
でも、年を取るにつれ少しずつあきらめなければいけないことが増えていく。
ほとんどの人は、どこかの企業に就職して、中には学問を続けたり、起業したり、フリーでやっていく人もいるだろう。
自分がこの先なにをやって生きていくのかはまだ検討もつかない。
でも、そろそろ何かを決めないといけないというプレッシャーは日に日に強くなる。
僕はひねくれた人間だ。
誰かが良いとか正しいとか言ったものを、素直に受け取ろうとしない。
いつも「ほんとに?」と思ってしまう。
少し前までは、それが知的な態度だと思っていた。
みんなが良いというもの、誰かが敷いたレールに乗ってしまう人とは違うと思っていた。
でも、そうやっていろんなものを疑って、否定してみて何が残るのだろうと最近思うようになった。
ひょっとして僕は、ある特定のカテゴリーの人をそれらしい理屈をつけて否定してみることで、
その人たちの上に立った気分に浸っていただけなんじゃないだろうか。
それで頑張ろうとしても、やはり違和感は拭われない。
最近たどり着いた今のところの結論は、
僕はレッテルを貼られたり、何かに分類されてしまうのが嫌なのだ。
「東大生」とか「がり勉」とか「意識高い」とか「くずな学生」とか。
とにかく何らかのレッテルを貼られて、棚に整頓されてしまわれて、それで「こういう人間にはこういう風に対処しよう」と決められるのが嫌なのだ。
あらゆる分類を拒否するような人間になりたいと強く思う。
真面目なやるかと思えばふざけたやつで、ふざけたやつかと思えば真面目なやつで、
次に何をしでかすのか全く分からないような人間。
僕にタグをつけて整理してしまおうとする試みを軽々とすり抜けていく人間。
僕はあくまで「僕」として認識されたい。
こういう僕の理想を何と呼べばいいのか分からないし、これをみて「じゃあ君はこの職業に就けばいいよ」と言われたいわけではない、というかそういうのがまさに嫌なのだけど、とにかく漠然としている。
どう生きていくかを考えるとき、多くの場合いくつかの選択肢が浮かぶ。
しかしそもそも「選ぶ」という行為は、そこにあらかじめ選択肢が用意されていることが前提となる。。
その選択肢はどこから湧いて出てくるのだろうか。
多くは、常識とか周りの人とかを見ているうちに無意識のうちに生成され現れるものだろうと思う。
「企業で働きたくない」といえば、「起業」とか「フリーランス」という選択肢が湧いて出てきて、そのどれかから一つ選んで頑張らなければいけない。
というのが、典型的なライフコースの捉え方だと思う。
でも、その考え方は窮屈だと思う。
もちろん、自分でお金を稼いで生きていく方法をリストアップすればそれは何通りものパターンに集約されてしまうだろう。
しかし、何かを選んでしまった時点である種の類型にはめられてしまうことになる。
どうにかして与えられた選択肢の中から「選ぶ」という発想ではなく、自分が「創り上げる」という発想に持っていけないだろうか。
考え方が違うだけじゃんと言われれば、何も言い返せないけれど
僕は勝手に「選ぶ」ことと「創る」ことの違いを見出している。
「創り上げる」ということは、もちろんみんなが自分の好きなように起業すればいいということではない。
ただ、「選ぶ」というのは誰かから与えられることが前提にある。
自分は斜め右に進みたいのに、右と左にしか道がなかった場合、ほとんどの人は右の道に進むだろう。
なぜならそれが自分の目指す方向に「近い」から。
同じではない。
選択肢が自分の理想と完全に一致している場合も稀にあるけど、多くの場合、全ての理想がかなうわけではない。
はじめは、自分の目指す方向にいつか向かおうと思っても、多少の方向性の違いに目を瞑って妥協しているうちに、いつしかそれに慣れてしまうのではないか。
ただ、道の上を歩くだけの人間になってしまうのが怖い。
本当は「創る」という”選択肢”、つまり「選ばない」という選択肢があるにもかかわらず、
急かされ、危機感を煽られるととにかく目の前に見えている選択肢から選ぼうとしてしまう。
「道を創る」という考え方をすれば、今に集中できるのではないだろうか。
「選ぶ」ということしか頭にないと、「選ばないと進めない」という意識が働くし、その結果いろんな可能性を見過ごすことになる。
自分の歩んできた道を振り返ってきたときに、「これは自分で創った道だ」と言えるようになりたい(何度も言うけど、それはかならずしもアントレプレナーになることを意味しない)。
もっと大きな言葉を吐けば、自分を他人が見て、目の前で見せられたカードだけが選択肢じゃないんだ、と思うような生き方をしたい。
ふわふわしてて伝わらないだろうけど、
自分でも何を言ってるのかわからないけど、
こういうことを思うのは自分だけかもしれないけど
とにかくこんな感じなのである。