なすの日記

思考を散歩させるための場所

疎外感の行き先 -草間彌生展から-(上)

コペンハーゲンのルイジアナ現代美術館に行ってきた。 市内から電車で40分、眼前には海が広がり対岸にはスウェーデンを望む美しい場所にある美術館では、草間彌生の企画展が行われていた。 名前は知っていたけど実際に作品を見るのは初めてだ。 企画展終了ま…

このブログ

どうもブログを始めてから45本もの記事を上げてきたらしい。 ふと合計記事数が目に入って、こんなに書いたのか、と思ってしまった。 たまに何かを書きたい衝動に駆られて、でもフェイスブックのタイムラインに長々と持論を書き連ねるのも恥ずかしかったの…

ゴジラ(1954)を見て

久しぶりにゴジラを見た。 1954年の最初のやつだ。 敗戦から10年後、日本人に未だ焼きついていた戦争の記憶を呼び起こすような作品である。 もちろん僕は戦争を経験してはいないし、戦争を扱った映画を見尽くしたわけではない。 (というか普段あまり…

境界

いたるところで境界線が引かれつつある。 「グローバル化」と呼ばれる現象が良くも悪くも国境なんて消し去ってくれると思っていたのに、 人々は国境線を再び強く引こうとしている。 それは、かつてのような領土の拡張、線の変更ではない。 今ある線を濃くす…

消費

なにかもやもやしていることあって、それがなんだかわからない。 いや、自分が何でもやもやしているのかはわかっている。 しかし、どうそのもやもやを解消していいのかがわからない。 あらゆるものが消費されていく。 誰かが精魂込めて作ったものもつまみ食…

としごろ

この年になると少しずつ人生の輪郭が明確になってくる。 小さい頃は「なんにでもなれる」と大人に言われるし、実際なんでもなれると思っていた。 でも、年を取るにつれ少しずつあきらめなければいけないことが増えていく。 ほとんどの人は、どこかの企業に就…

コトバノゲンカイ

言葉とはつくづく難しい道具だと思う。 僕たちが他人に何かを伝えようとする場合、使える方法はいろいろあるけれど 最も正確に伝達できて、かつ常に使えるのは言葉くらいのものだろう。 言葉がなければ今の人間の発展はなかったはずだ。 試しにそれぞれ共通…

はかり

デンマークに来て3か月とちょっと。 日に日に短くなる日照時間とレポート提出の残り時間の中で憂鬱感を深めている僕だが、久しぶりに文章を書いてみる。 こっちに来て刺激を受けたことはいろいろあるが、その中でも最も驚いたのは デンマーク人の労働時間だ…

留学に大和魂って必要ですか?

留学に行く、となると「日本のことを勉強していったほうが良い」と言われる。 確かに実際に留学を始めてみると日本のことについて聞かれる。 結局、僕は大して日本のことを勉強しなかった。 日本のことって何だろう、と考えているうちに海外に出てしまった。…

放置の倫理 ー多様性を保証するには?ー

最近、下記のような記事が大きな反響を呼んでいる。 dot.asahi.com 実態は、「炎上した」のほうが正しい。 まあこのタイトルを見れば「いやいや、高校生のうちに恋愛したいでしょ!」とか「こういう教育が精神的に貧しくて社会で使えない東大生を育てるんだ…

お金の話

お金は時間を買うためのものだ。 「買う」という言葉を使うとややこしくなるから お金は時間を短縮するものだ といったほうが良いかもしれない。 お金を持っていれば持っているほど時間を自分の自由にできる時間が増える。 普段徒歩で行く場所までお金を払っ…

不惑

勉強していると不思議な気持ちになることがある。 自分は何かをやるために勉強しているのではなく、何かをやらないでおくために勉強してるんじゃないかと。 歳をとっていろんな知識や経験を積むうちに、そういう積み上げたものが 自分の言い訳のために使われ…

ダメな留学経験者にならないために

留学に行く前、友達にこんなことを言われた。 「留学から帰ってきた人は、いろんなことに首を突っ込んでかき回すイメージがあるから、なすくんはそうならないでね」と。 留学といえば基本的に良いイメージを持たれるが、言われてみれば確かに「うざい留学経…

みんなで決めることは別に良いことじゃない。

僕はこの前のエントリーで、安保に関するデモを批判した。 そのことに関して一つ補足しておきたいのだが、僕はデモそのものを止めろと言いたかったわけではない。 柄谷行人が言うようにデモが起きれば、それはこの国がデモをできる国になるということを意味…

難民・移民から考える「思考」の射程範囲

物事を考える上で「どうしたいか」と「どうすべきか」という二つの次元が存在する。 ここでは、世の事象を全てこの二分法で説明できるということが言いたいのではない。 もっと身近な言葉で言えば「〜したい」と「〜しなきゃ」かもしれない。 この二つの大き…

「努力=我慢」の時代は終わった。

自分のメンタリティというか無意識のうちに陥っている思考について考えてみた。 これを見ている人からすれば知ったこっちゃないだろうが、僕はもっと人生ぱっとしないかなーなんていつも思っている。 当たり前だけど世の中はそんなに簡単じゃなくて、努力し…

言葉には、力がある ―氾濫する醜い言葉に立ち向かうために―

言葉は魔法だと思う。 いかなる言葉も、誰かへ向けて発せられる。 その誰かの所に届いた言葉は、その人の心や行動に影響を与える。 言葉はただの音や模様ではなく、人(自分も含む)を動かすものなのだ。 その昔、言葉には魔力が宿ると信じられていた。 言葉を…

デモという「祭り」 ー政治的価値のないデモを繰り返すなー

国会前デモに行ってきた。 その日の昼に安保法案が衆院特別委員会で可決された。 僕は前回のエントリーで書いたように、法制化の進め方に疑問は感じるものの すぐに「戦争反対」を盾に集団的自衛権に反対する人たちにも違和感を感じていたので あくまで見に…

集団的自衛権から考える -右の傲慢、左の欺瞞ー

集団的自衛権に関する議論が盛り上がっている。 これほどの規模になったのは、間違いなく3人の憲法学者が 集団的自衛権を違憲としたからだろう。 最近は24歳の女性フリーターによる演説が話題になっている。 24歳女の子が安倍晋三に向けてスピーチ。 | 宮崎…

Fly me to the moon

僕は何にでもなれる。 2~300年前の人達が流してくれた血のおかげで 僕がなりたいものになることを妨げるものはほとんどない。 自分の頑張り次第。 でも、「何にでもなれる」ということは「全てになれる」ということを意味しない。 人間はこれだけ自らを取り…

僕が留学する理由

「なんで留学するの?」 よくそう聞かれる。無理もない。 行き先はなじみのない北欧の国だし、英語もあまりしゃべれない。語学は嫌いだ。 さらに言えば、外国人とのコミュニケーションがとても苦手である。 別に考えが違ったりぶつかるのはいい。 ただ、自分…

「○○はダメだ!」という思考停止

身の回りにある矛盾について考えると怒りを感じるに至ったりする。 サークルにいそしんで、学問に対して真摯でないように見える大学生を目にすると 「大学生なのになぜあそんでばかりなんだ」「大学は学問をするところだぞ」 「海外の学生は寝る間も惜しんで…

あの日あの場所にいたかもしれない自分

*今回のエントリーはごく個人的な発散なのであまり読んでも意味はないと最初に言っておきます。 今でも1年前あの場所になぜ行かなかったのかよく考える。 本当になぜかわからないけど、自分はいてはいけないような気がした。 たくさんの人が一つの目標の実…

一人前になるには

一昔前の偉い人の経歴を見るとずいぶん長いこと学生をやっている人が多い。 院に進んだ人もいるだろうが留年している人も多い。 今の風潮だと留年はかなり避けられるものであるようだ。 留年するとその人はとても怠惰な人というレッテルを貼られたりする。 …

何も言えない世界へ 

「何も言えない世界」が到来しつつある。 言論の自由は権力によってのみ奪われると思っていた。 もちろん権力は今でも言論を弾圧しうる。 しかし今、言論を抑圧しているのは市民の方だ。 俗にいう「炎上」。 何気ない発言や行動があっという間にインターネッ…

Mighty holes ー都市の中心に関する考察ー

東京という都市の中心には巨大な空虚がある。 周囲を高層ビルに囲まれながら、その場所だけは緑を湛えている。 江戸時代には、江戸城という巨大な構造物があり今とは逆に江戸の町を見下ろしていたというから皮肉だ。 皇居という場所から発する力は日本におけ…

まじめな人

「まじめ」とはなんだろうか。 決まりを守ること よく勉強すること 嘘をつかないこと 「まじめ」という言葉は良い意味でも使われるが、 皮肉としてつかわれることもある。 辞書によると うそやいいかげんなところがなく、真剣であること。本気であること。ま…

へたれ

少し突飛な話。 もし地球が弱肉強食を完璧に徹底した星だったなら 地球上に生物は1種類しかいないんじゃないか って思ったことがある。 最初の時点でたくさんの種類の生き物がいても トーナメントみたいな感じで最強の1種が決まりそいつが繁栄するんじゃな…

ごめんな、俺は機械じゃないんだ。

留学に際し奨学金をもらえることになった。 よくわからないけれど日本代表と名乗れるらしい。 そんなわけでその研修に参加することになり、事前課題が配られた。 その課題は人材育成企業が作成していた。 その企業のホームページがとても熱くて僕はのけぞっ…

なんでもない世界 その2 -必然の非対称性-

少し前、こんな記事を書いた。 「納得」こそ正義。このなんでもない世界を生きるために。 - なすの日記 要約すると、この世界を生きるうえで「意味」なんてものは客観的に存在しないのだから自分の「納得」という感覚を大事にしようぜ。 みたいな記事だった…